第2回 新宿区行財政計画への提言
~少子化対策を最重要施策に~

平成16年8月23日
南山伏町町会会長 妹尾 一男

ひとくちに「少子高齢化」が進み大変だと言われておりますが、その内容と影響の性格は異なり、その対策も全く異なるはずです。

高齢化の問題は医学の進歩や社会福祉の充実などから、日本人の平均寿命が昭和22年の約50歳から、今日80歳を超え世界一となりました。まことに喜ばしいことですが、それが年金・健保などの会計に過大な負担となり、老人ホームの不足を招くなど、大きな社会問題になっています。年金問題についていえば、これは国民年金発足時における平均寿命を将来伸びても75、76歳と読んだ誤りが大きな原因でもあり(国民年金の65歳からの受給総額を、70歳からのそれは76歳で追い越します)、国民にその誤りを公表し謝罪し、受給額を減額するのも一法ですし、どちらにせよ高齢化による障害は、難しいとはいえ国家財政の分野で解決できぬ問題ではないと思います。

しかし少子化の問題は深刻で対応が遅れると、否たとえ対応を誤らずとも取り返しのつかぬ結果を招くおそれがあります。基本的に国の政策や行政の対応で解決できぬ問題であるからです。とはいえ行政は精一杯の努力をする必要がありましょう。

新宿区の統計資料により、年齢別人口統計の推移を見ると、あまりにも少子高齢化の現象がはきりしていて慄然とします。

このまま人口の減少が続き、将来も現在と同じレベルの生活を求めるとすると、必然的にはるかに多くの外人労働力が必要となります。現在、新宿区の外国人登録人口は29,143人で区の総人口の1割を上回ります。そのうち韓国、朝鮮、中国で二万人以上を占めています。未登録の外人不法就労者も新宿区は多いはずですが、やがて、さらに多くの外国人を公然と迎え入れねばならぬ時が来るのではないでしょうか。

現在でも税金を納めている定住外国人には、国政にはともかく、地方自治体での選挙権を認めるべきとの論議が華やかです。もしそれが実現したとき、増加した外国人に未成年者は少なく、さらに結束の固い在日二・三世の帰化外国人がまとまれば、新宿区に初の外国人区長が出現するかとは、あながち冗談とばかり片付けられない気がします。

 それはともかく、ここまで少子化の傾向を招いた原因はいろいろあると思いますが、やはり子どもを産みにくい、育てにくい環境ではないでしょうか。それらは行政の責任ではない原因で生じた部分が多いのですが、行政の対応が遅れていた傾向は否めません。

核家族化した今日、必須である保育園に入れぬ待機児の存在は問題だと思います。幸い新宿区では区長はじめ関係者の努力で昨年4月の89人から35人と減少しているようで喜ばしいことですが、さらに待機児童の解消をはかり、全国自治体の範となり少子化を防ぐ運動の先頭に立ってほしいと望んでいます。

もちろん予算も必要となりましょう。それには恒常的に億単位の赤字を計上している区営保養所、健康村を閉鎖すべきです。数十年前には個人で旅行計画を立て、旅館の予約など煩わしい時代もありました。しかし今日、行政が旅館業を続けているのは時代錯誤です。

働いている人は平日は利用できず、閑な常連だけが利用する施設を、申込希望が多いからなどというのは存続理由になりません。

私どもは数年前から廃止を叫んでおりましたが、ほとんどの人が賛成なのに何故か実現することなく今日に至っております。

区長のご英断を切に希望するところです。