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南山伏町町会 妹尾一男氏のコラム

第10回 「津田左右吉と激しい時代の嵐」

平成24年3月26日
元 南山伏町町会会長 妹尾一男

立派な仕事をしたと賞められたのに、時代の風がかわると、怪しからんと責められ、果ては罪人にされたが、再び風の流れがかわると、最高に賞め讃えられるという波瀾の人生だった。

ところが険しい国際情勢下に天皇神格化により国論統一をはかろうとする軍国主義勢力が台頭し、純粋な学問的研究も言論弾圧されるようになった。

津田の古事記、日本書紀の天皇に関する記述は後世の官人の手が加わっているとの論証は天皇の尊厳を冒涜すると問題に。

敗戦により状況は一変する。

全三十五巻に及ぶ論文全集も刊行され、優れた業績に日が当たる。だが最も充実したであろう五十歳代からの二十年間の不遇は、個人的にも学界としても、なんとも残念なことだった。